RoHs指令規制対象10物質の分析

欧州連合(EU)において、2000年10月に発効されたELV指令(廃自動車指令)により2003年7月以降は自動車の部品・材料に鉛(Pb)・水銀(Hg)・カドミウム(Cd)または六価クロム(Cr6+)の4物質を非含有にしなければEU加盟国に輸出することが出来なくなりました。

また、2006年7月に施行されたRoHS指令では、Pb・Hg・Cd・Cr6+に加えて2種類の臭素系難燃剤PBB・PBDEの6物質は、対象となる電気電子機器も順次適用されると共に、6物質の非含有のためのEU適合宣言の作成が義務化されました。

さらに2019年より、主に可塑剤として使用されてきた 4種類のフタル酸エステル類(DEHP・DBP・DIBP・BBP)が新たに規制成分として追加され、医療機器、体外診断用機器、監視および制御機器に対しては、2021年7月22日に施行拡大されました。

自動車・電気電子機器とも様々な材料・物質を使用していることから、サプライチェーン全体にわたって有害物質の非含有を管理することが製造者の責任になっています。
IEC(国際電気標準会議)は、改正RoHS指令で電気・電子機器中において使用が制限されている物質の分析法をIEC62321として規定しています。

自動車・電気・電子業界向け《環境規制物質不使用証明書》用データ作成、
RoHS指令の10物質分析のご依頼、お見積り、その他ご要望等お気軽にお問い合わせ下さい。

  • 分析対象例
  •  電気部品・プリント配線板・包装材料・配線・ねじ
  •  副資材 粘着テープ・はんだ材料・接着剤・包装紙など
  •  取扱説明書 印刷インク
  •  配送保護に用いる包装材 木枠・袋・緩衝材・ラップ・段ボール・テープ・  結束バンド・ラベル・印刷インク・塗料など

フタル酸エステルの用途と特徴

無色透明な油状液体の有機化合物。多くの種類がある。
主に可塑剤(かそざい)=プラスチック、ゴムを柔らかくする添加剤。
その他溶剤、香料保留剤などとして様々な製品に使用。

製品用途

樹脂製品、ケーブル被覆、包装材、ゴム、テープ、フィルム、シート、 ゴム足、Oリング、パッキン、コンベアベルト、ローラー、チューブ、 塗料、インク、接着剤、コーティング剤、インク、充填剤など

特徴

・ゴムや樹脂部品から添加剤が染み出る=ブリード現象。(ブリード量は添加剤の量・環境に依存)
・フタル酸エステルは、移行汚染が注目されている。

抑えるべきポイント(例)

①可塑剤や難燃剤を含んだ製品
②印刷物等、インクが通るチューブからのフタル酸の汚染移行事故
③印刷物、インクその物にフタル酸が含有されている事故
④ゴムローラー等、製品が通る工程部材からのフタル酸の汚染移行事故

規制物質を測定する装置、閾値について

規制物 ELV
(閾値)
RoHS
(閾値)
分析装置 納期
(サンプル到着後)
カドミウム(Cd) 100ppm 100ppm ICP発光分光分析装置(ICP-OES) 7営業日
鉛(Pb) 1000ppm 1000ppm ICP発光分光分析装置(ICP-OES) 7営業日
水銀(Hg) 1000ppm 1000ppm ICP発光分光分析装置(ICP-OES) 7営業日
六価クロム(Cr6+) 1000ppm 1000ppm 紫外可視分光光度計(UV) 7営業日
4物質(Cd・Pb・Hg・Cr6+) 7営業日
ポリ臭化ビフェニル(PBB) 規制対象外 1000ppm ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS) 10営業日
ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE) 規制対象外 1000ppm ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS) 10営業日
6物質(Cd・Pb・Hg・Cr6+・PBB・PBDE) 10営業日
簡易分析(Cd・Pb・Hg・全Cr・全臭素) 簡易定量分析(EDX) 7営業日
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP) 規制対象外 1000ppm ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS) 10営業日
フタル酸ジブチル(DBP) 規制対象外 1000ppm ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS) 10営業日
フタル酸ジイソブチル(DIBP) 規制対象外 1000ppm ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS) 10営業日
フタル酸ブチルベンジル(BBP) 規制対象外 1000ppm ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS) 10営業日
10物質(Cd・Pb・Hg・Cr6+・PBB・
PBDE・DEHP・DBP・DIBP・BBP)
10営業日

料金

 :別途御見積いたします。気軽にお問合せください。

納期

 :リソースにより変わることもありますので事前にご確認ください。

備考

 :特殊な前処理が必要な場合は、別途加算される場合がございます。

分析装置

  • ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)

    ◎島津製作所製
    ◎GCMS-QP2020 NX
    ◎ガスクロマトグラフ質量分析計

    《主な分析対象》

     臭素(PBB,PBDE)
     フタル酸エステル類(DEHP,DBP,DIBP,BBP)

    化合物が混合された試料を、各化合物ごとに分離、定量することが可能

  • ICP発光分析装置(ICP-OES)

    ◎Agilent製 5110 ICP-OES
    ◎マルチタイプ
    ◎測定波長範囲:167~785nm

    《主な分析対象》

     三元素(Cd,Pb,Hg)

    水溶液中の微量元素定量が可能
    酸分解などの前処理を行えば、金属、プラスチックなど多くの素材中の微量元素測定も可能

  • 紫外可視分光光度計(UV)

    ◎日本分光製 V-660
    ◎光学系:ツェルニターナマウント ダブル モノクロ ダブルビーム方式

    《主な分析対象》

     六価クロム(Cr6+)

    非常に低迷光のため、吸収の強い試料や固体試料の測定に適している

  • 蛍光X線分析(EDX)

    ◎島津製作所製 EDX-720
    ◎分析元素範囲:11Na~92U
    ◎試料形状:最大300mmφX150mmH

    《主な分析対象》

     スクリーニング分析(簡易分析

    X線は、物質を透過する能力が高く、固体、液体、粉体を非破壊で分析することに適している

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