車載向け高速伝送技術GMSL2の特徴と製品ラインナップについて | アナログ・デバイセズ
1.車載カメラのトレンド
従来、車載カメラは1~2MP程度の解像度が主流でしたが、近年ADAS(先進運転支援システム)への取り組みが急速に進み、センシングカメラはより高画素化が求められています。(図1)
映像データの高速伝送については、ADI(旧MAXIM)のGMSLが既に多くの車両で使用されています。
GMSLで扱える映像の上限は2MP程度でしたが、新しくリリースされたGMSL2を使用することでより高画素なカメラの映像データを扱うことができるようになりました。
本ページではADI(旧MAXIM)の次世代GMSL、GMSL2について特徴を説明します。
- 以降、現行御世代のGMSLをGMSL1、次世代のGMSLをGMSL2と表記します。
2.GMSL1とGMSL2の比較
GMSL1の順方向(フォワードチャネル)の最大伝送レートは3Gbpsでカメラの解像度は2MP ⁄ 30FPSまで対応していました。
一方でGMSL2の伝送レートは6Gbpsと2倍に向上し、カメラの解像度は8MP/36FPSまで対応することができるようになりました。
またGMSL1はPCLKをリファレンスCLKとして使用し、伝送レートはPCLKに応じて変動しますが、GMSL2は外部からのリファレンスCLK(25Mhz)を使用するため、伝送レートが固定伝送レート(3Gbps or 6Gbps)で動作します。
さらにGMSL2のセーフティレベルはASIL-Bに準拠しており、GMSL1に比べて自己診断やエラー検知機能がさらに追加されました。
3.GMSL2 下位互換機能
GMSL2の一部製品では、GMSL2とも接続できる下位互換モードが備わっています。
対向のSer ⁄ Desの世代に合わせてGMSL1モード ⁄ GMSL2モードを切り替えることで、下位世代のGMSL1と接続可能です。
例えば、ECU側のDeserializerにGMSL2製品を使用することで、カメラ側のSerializerはGMSL1 ⁄ 2のどちらでも接続できます。
これにより、ECUを共通化してモデルに合わせてカメラを選択するといった構成も実現でき、過去に設計したGMSL1カメラを流用できます。(図3、図4)
またGMSL1リンクとGMSL2リンクが混在する構成も可能なため、仕様に合わせて柔軟に対応します。(図5)
4.MAX96724のAggregation&Replication機能
DeserializerのMAX96724ファミリーは、最大4つのGMSL入力端子を持っており、複数のビデオデータを処理できます。
各SerからVideoA~Dを受け取った後、内部のAggregatorを使用しビデオデータの集約(Aggregation)や、内部のCSI-2Controllerを介してPortA、Port Bにビデオデータを複製(Replication)して出力するといったこと可能です。
図6のデータパスは、あくまでも一例で、Aggregation&Replication機能を使うことで、さまざまな要求仕様の構成に対応します。
5.GMSL2のラインナップ
現在リリースされているカメラ向けGMSL2のラインナップは、3ファミリーあります。
ファミリー | Serializer ⁄ Deserializer | 入力 | 出力 | ||
インターフェース | チャンネル数 | インターフェース | チャンネル数 | ||
MAX96717 | Serializer | CSI-2 | 1 Port | GMSL2 | 1ch |
MAX96714 | Deserializer | GMSL1 ⁄ 2 | 1ch | CSI-2 | 1 Port |
MAX96724 | Deserializer | GMSL1 ⁄ 2 | 4ch | CSI-2 | 2 Port |
さらに詳細な区分が図7です。
図7 上段の「末尾なし」品番をベースに「末尾F」、「末尾R」の順に機能を削減した廉価版の位置づけです。
「末尾F」は伝送レートを3Gbpsに制限した品番、「末尾R」はこれに加えてセーフティレベルがQMレベルの品番といった差分があります。
また、「末尾なし」と「末尾F」はピンコンパチになっており、基板は共通でICを載せ替えることでシステムの最適化が可能です。
評価用ボード
本ページで紹介したGMSL2製品は、全て評価用ボードを用意しています。
興味があれば、ぜひお気軽にお問い合わせ下さい。